弁護士の岩田です。
当事務所では、離婚調停、遺産分割調停といった、家事調停をよく扱います。
調停の依頼を受ける際に、依頼者からしばしば、「弁護士に依頼をすれば、私は裁判所にいかなくてもいいですか?」と聞かれます。
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調停は、平日10時~17時の間に裁判所で開催されるため、お仕事や育児など平日の予定がある方にとっては、なかなか出席しにくいものではあります。
また、相手方と直接やりとりをしたくないという理由で弁護士に依頼をする方も多くいます。
せっかく費用を払って代理人を立てているので、代理人に行ってもらいたい、というお気持ちは理解できます。
もっとも、私は、このようなご質問に対しては、「調停期日にはできるだけお越しいただきたいです」とお答えしています。
その理由はいくつかあります。
まず、調停は、話合いによって解決を目指す手続ですので、紛争当事者が直接調停に来て話合いをすることが望ましいとされています。
調停の場に出席していると、相手方の言い分の強い部分や弱い部分、裁判所の考え方などが、調停委員の言葉だけでなく、表情や空気感といった肌感覚でも伝わってきます。
そのあたりの感覚を、当事者と代理人が一緒に共有し、相談しながら調停を進めていくことがうまく調停を進めるコツだと思っています。
また、当事者の生の言葉の方が調停委員にうまく伝わる、ということもあります。
先日依頼者と出席した離婚調停でも、私がくどくど説明しているときは調停委員は「ふうん」という顔で聞いていました。
しかし、依頼者が、相手方の不貞を見つけ、問い詰め、相手方が家を出ていくまでの経緯を具体的に、かつ臨場感をもって、感傷を込めて語った時、調停委員は二人とも腑に落ちたような顔で、大きくうなずいていました。
調停室の空気が変わった気がしましたし、(私の伝え方がうまくなかったということもあると思いますが、)当事者が生の事実を語る力を再認識したものです。
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もっとも、お仕事の都合や体調の悪化などの事情で、代理人のみで出席する場合ももちろんあります。
最近は、新型コロナウイルス対策で、裁判所から代理人のみ出頭でもいいと言われる場合もあります。
いずれにしても、どのように調停を進めていくかを、良く話合いながら進めさせていただきますので、何なりとご相談ください。